食品工場のアレルゲン対策を解説|管理の基本から検査・洗浄・原料選定まで

食品工場のアレルゲン対策を解説|管理の基本から検査・洗浄・原料選定まで

「アレルゲン混入によるリコールが他社で起きているが、自社の管理体制は本当に大丈夫なのか?」

そんな疑問を抱えながらも、何をどこから整えればよいかわからない、という担当者の方は少なくないのではないでしょうか?

アレルゲン管理の難しさは、対策が必要な箇所が原料受入から製造・表示・出荷まで工場全体に及ぶ点にあります。しかも、ごく微量の混入でも消費者の健康に影響を与えうるため、工程全体を通じた一貫した管理が求められます。さらに2021年のHACCP義務化を契機に、アレルゲン管理は法令対応の観点からも重要な課題となっているのです。

本記事では、食品工場のアレルゲン対策について解説します。アレルゲンマップの作り方や検査手法の使い分けも紹介しているので、ぜひ自社の管理体制の見直しに活用してください。

食品工場でアレルゲン対策が欠かせない理由

食物アレルギーは、ごく微量のアレルゲン摂取でも重篤な症状を引き起こす可能性があります。

アレルゲン管理を怠ることは、消費者の生命リスクに直結するだけでなく、リコール・訴訟・ブランド毀損という経営上の深刻なダメージにもつながりかねません。

アレルゲン混入が引き起こすリスクと実際のリコール傾向

アレルゲンに起因する自主回収は、行政区分において危険度の高い案件に分類されます。その主な原因として挙げられるのが、ラベルの貼り間違い・データ入力ミス・原材料の取り違えといったヒューマンエラーです。設備や設計上の問題よりも、人的なミスによるリコールがいかに多いかは、業界内でも広く認識されています。

中でも小麦・卵・乳など重篤度が高い特定原材料の表示欠落事例が大半を占めており、たった1枚のラベルの貼り間違いが消費者の命に関わる事態へと発展することがあります。

自主回収が発生すれば、回収コストや消費者への信頼失墜だけでなく、法的責任も企業に重くのしかかります。アレルゲン対策は品質管理の一環である以上に、企業の存続に関わる経営課題として捉える必要があるでしょう。

HACCPとアレルゲン管理の関係

2021年にHACCPによる衛生管理が全食品事業者に義務化され、アレルゲン管理はその重要な構成要素として位置づけられています。

国際規格であるコーデックスの改訂HACCPガイドライン(2020年)にも「食品アレルゲン管理に関する規範」が盛り込まれており、グローバルな文脈でも対応が求められています。

また、FSSC22000などの食品安全マネジメントシステム認証においてもアレルゲン管理は重要項目のひとつです。さらに2021年6月よりリコール情報の行政届出が義務化され、アレルゲン関連の表示欠落も届出対象となっています。法令対応の観点からも、体制整備はもはや待ったなしの状況といえます。

食品工場におけるアレルゲン対策

食品工場のアレルゲン対策は、①原料受入・保管、②製造工程、③表示・出荷という全工程にわたる一貫した管理が必要です。どこかひとつの対策が抜けても、最終製品にリスクが残ってしまいます。

原料受入・保管における対策

アレルゲン管理は、原料が工場に入る段階からすでに始まっています。まずサプライヤーから原材料規格書を取得し、各原料のアレルゲン含有状況を把握します。

規格書は年1回以上の定期更新が望ましく、原料の規格変更があった際には速やかに社内情報共有が行われる体制を整えておく必要があります。

海外原材料メーカーとの取引には特に注意が必要です。国によって食物アレルゲンの表示制度が異なるため、日本の法的要求事項を事前に共有し、輸入前に情報を確認しておくことが欠かせません。

また保管時は、アレルゲンを含む原材料を別エリアに区分けし、色付きケース・タグなど視覚的に識別できる仕組みを導入することが基本です。アレルゲンを含む原材料を他の原材料の上に置かないなど、飛散・落下による混入を防ぐ工夫も忘れずに行いましょう。

製造工程における対策(ゾーニング・ライン管理)

製造工程では、アレルゲンを含む製品と含まない製品のライン・器具・作業エリアを可能な限り分離することが基本です。このエリア分けの考え方を「ゾーニング」と呼び、アレルゲン原料・製品の取り扱いエリアを明確に定めることで交差接触リスクを低減します。

専用ラインの確保が難しい場合は、アレルゲン非含有製品を先に製造し、その後アレルゲン含有製品を製造するという順序管理が有効な代替策となります。

また、作業者が複数製品を扱う場合は手袋・エプロンの頻繁な交換と手洗いの徹底が必要です。工場内における人やモノの動線を整理し、アレルゲンが交錯しない環境をあらかじめ設計しておくことが、コンタミネーション防止の根本的な対策になります。

表示・出荷における対策

リコールの大半はラベルの貼り間違いや表示漏れといったヒューマンエラーに起因しています。表示管理は単純作業に見えて、最も事故が起きやすい工程のひとつです。

ラベル・包材は指定場所に保管し、使用しないものは全廃棄を徹底することが基本。印字不良・かすれ・表示漏れの確認を出荷前チェックリストに組み込み、複数人によるダブルチェック体制を構築することが不可欠です。

また、原材料の規格変更があった際に速やかに表示内容を見直せる体制を整えておくことで、見落としによるリスクを防げます。

アレルゲンマップとは?作成・活用のポイント

アレルゲンマップとは、工場内のどの場所にどのアレルゲンが存在・残留するリスクがあるかを施設平面図上に可視化したものです。

ふき取り検査の結果と組み合わせることで、汚染ポイントを特定して改善サイクルを回すことができる、アレルゲン管理の中核ツールといえます。

アレルゲンマップの作り方と運用方法

まず、ふき取り検査でアレルゲンが残留している箇所(アレルゲンポイント)を特定します。その結果を施設平面図に記入して可視化し、原因を推測したうえで改善策を実施。再度ふき取り検査を行い、効果を検証する。このPDCAサイクルを繰り返すことが重要です。

ふき取り検査は、食品が直接触れる場所・接触頻度の高い場所・洗浄しにくい場所を優先的に行いましょう。検査結果は必ず記録し、定期的に分析することでアレルゲンの残留傾向や問題箇所の把握につなげることができます。

また、色分けした表示ラベルをアレルゲン含有原材料に使用することで、マップと連動した視覚管理もしやすくなるでしょう。

アレルゲンマップを活用した従業員教育

アレルゲンマップは管理ツールとしてだけでなく、従業員教育の教材としても非常に有効です。「自分たちの工場のどこにリスクがあるか」を見える化することで、現場レベルの危機意識を高めることができます。

実際の自主回収事例を教育資料として活用し、「どこにミスがあったか」を現場目線で考える機会を設けることも効果的です。「1枚のラベルの貼り間違いが消費者の命に関わる」という事実を、数字や事例とともに全従業員に伝えていきましょう。

アレルゲン検査の種類と使い分け

アレルゲン検査には、目的や場面に応じて複数の手法があります。日常的な製造ライン管理には迅速・簡便な手法を、最終製品の出荷判定など精度が求められる場面では公定法を用いるなど、適切な使い分けが品質保証の精度を左右します。

ふき取り検査(A3法・イムノクロマト法)の特徴

ふき取り検査は、設備や製造ライン上のアレルゲン残留を確認する、日常管理向けの手法です。ATPを指標とするA3法は10秒程度で測定でき低コストで導入しやすく、ELISA法のキットが存在しない食肉・魚・果物などにも有効です。

一方、イムノクロマト法は特定アレルゲンの有無を10〜20分程度で確認でき、製造ライン上のコンタミネーション確認に適しています。ELISA法と比べると特異性はやや低いものの、現場レベルで簡便に実施できる点が大きなメリットです。

日常のライン洗浄管理にはA3法などの簡易検査を活用しつつ、洗浄効果の妥当性確認にはELISA法を組み合わせる運用が実用的です。

公定法(ELISA法・PCR法)はどんな場面で使うか

消費者庁が定める公定法(ELISA法・PCR法等)は、最終製品の出荷判定や表示妥当性の確認に用いられる高感度・高特異性の検査手法です。

ELISA法はスクリーニング検査として特定原材料9品目の定量試験に使用され、陽性の場合はウェスタンブロット法・PCR法による確認検査を実施します。検査機関への委託が一般的で、費用は1項目あたり22,000円〜が目安です。

公定法は精度が高い反面、結果まで日数を要するため日常のライン管理には適しません。委託先を選ぶ際は、ISO/IEC17025認定を取得している機関を選ぶと信頼性が高まります。

原料選定から始めるアレルゲンリスクの低減

いくら工場内の管理を徹底しても、原料に不明確なアレルゲンリスクが残っていれば根本的な解決にはなりません。

アレルゲン対策の出発点は、原料そのもののリスクを把握し、適切なサプライヤーから調達することにあります。原料の選定段階からアレルゲン管理を組み込むことが、最も確実な対策の一歩です。

規格書確認とサプライヤー管理の重要性

原料のアレルゲン情報は規格書で確認し、変更時には必ず事前通知を受ける体制をサプライヤーと取り決めることが基本です。規格書は年1回以上定期更新し、社内での情報共有体制も事前に整えておきましょう。

特に輸入原材料は日本の表示制度と異なるケースがあるため、国内法に準じた情報共有が不可欠です。

また、アレルゲンを含む原料と含まない原料が同一製造設備で製造されていないかをサプライヤーに確認することも重要なチェックポイントです。サプライヤーへの定期監査・評価基準の明確化により、信頼できる原料調達ルートを長期的に構築していくことが、アレルゲンリスクの根本的な低減につながります。

アレルゲン対応原料の調達なら永和物産へ

永和物産は、食品香料・食品添加物・食品素材・乳酸菌など幅広い食品原料を取り扱う専門商社です。国内外の厳選されたサプライヤーネットワークから原料を調達しており、アレルゲン管理の観点からも安心して採用できる原料の提案が可能です。

コーシャ・ハラール認証品も取り揃えており、グローバルな製品開発・輸出対応にも対応しています。原料選定・配合に関するご相談にも対応しており、開発担当者・品質管理担当者の課題解決を支援します。

アレルゲン対応原料の調達から管理体制の見直しまで、まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ

食品工場のアレルゲン対策は、原料受入・製造工程・検査・表示という全工程を通じた一貫した管理が求められます。

アレルゲンマップによる可視化・適切な検査手法の使い分け・従業員教育を組み合わせることで、リコールリスクを大幅に低減できるでしょう。そして最も重要なのは、工場内の対策だけに目を向けるのではなく、原料選定の段階からアレルゲンリスクを排除するという視点を持つことです。

永和物産では、アレルゲン管理に配慮した食品原料を幅広く取り扱っています。食品香料・食品素材・食品添加物など、製品開発に必要な原料をワンストップで調達可能です。

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