RSPO認証とは?持続可能なパーム油の仕組み・種類・メリットを食品メーカー向けに解説
RSPO認証とは、持続可能なパーム油の生産・製造・流通・消費を促進するための国際的な認証制度です。
パーム油は世界で最も多く生産・消費されている植物油脂で、加工食品・洗剤・化粧品など幅広い製品に使われている一方で、熱帯雨林の伐採や人権問題といった深刻な環境・社会問題とも密接に関わっています。
近年は国内外の大手小売業者がサプライヤーへRSPO認証油の使用を求める動きも強まり、食品メーカーにとってESG経営の観点からの対応が急務となってきました。
この記事では、RSPOの基本的な仕組みから認証の種類・食品業界でのメリットまで解説します。
目次
RSPO認証とは?
RSPO認証は、持続可能な方法で生産・流通されたパーム油であることを証明する国際認証制度です。単に環境に配慮した農業を認証するだけでなく、農園から最終製品に至るサプライチェーン全体を通じて、認証パーム油の適切な取り扱いを担保する仕組みとして設計されています。
RSPO認証を取得した製品にはRSPOロゴマークを表示でき、環境・社会問題に配慮した原料調達を行っていることを、消費者や取引先に対して客観的に証明できます。
RSPOの正式名称・読み方
RSPO認証とは、「Roundtable on Sustainable Palm Oil(持続可能なパーム油のための円卓会議)」の略称で、「アールエスピーオー認証」と読みます。
2004年にWWF(世界自然保護基金)を含む関係団体が中心となって設立された国際非営利組織であり、持続可能なパーム油の生産と利用を促進することを目的としています。
スイス最大の小売業者であるミグロが環境負荷の高いパーム油調達の問題に向き合い、WWFとともに認証制度の標準化に取り組んだことをきっかけに設立されました。組織はパーム油産業に関わる以下の7つのステークホルダーによって構成されています。
- アブラヤシ生産者
- 搾油業・商社
- 消費者製品製造業
- 小売業
- 銀行・投資家
- 環境NGO
- 社会開発NGO
RSPO認証パーム油が初めて取引されたのは2008年で、現在は世界共通の国際認証制度として加盟数が増加を続けています。
なぜRSPO認証が必要なのか?パーム油をめぐる問題とは
パーム油はアブラヤシの実から採れる植物油脂で、単位面積当たりの収量が他の植物油脂の5〜8倍と生産効率が高く、大豆を抜いて世界で最も生産・消費される植物油となっています。日本で使われる植物油の約4分の1がパーム油であり、カップ麺・菓子・パン・マーガリンなどの加工食品から洗剤・化粧品まで、私たちの身の回りの製品に幅広く利用されています。
しかし、その需要拡大に伴い、主産地である東南アジア(インドネシア・マレーシアなど)では深刻な問題が表面化してきました。
- 環境問題: 原料となるアブラヤシ農園を開発するため、生物多様性の宝庫である熱帯雨林が大規模に伐採され、そこに生息するオランウータンなどの野生生物が絶滅の危機に瀕しています。
- 社会問題: 農園開発に伴う先住民族との土地を巡る紛争や、劣悪な環境下での児童労働・強制労働といった人権問題も深刻化しています。
こうした問題が指摘されていますが、問題の本質はパーム油そのものではなく、その栽培方法や調達の仕組みにあります。パーム油は生産効率が高く代替が難しい原料であることから、単純に他の植物油へ置き換えるのではなく、持続可能な生産・調達の仕組みを整えることが業界全体の課題として認識されるようになりました。そのような認識のもとに生まれたのが、RSPO認証制度です。
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RSPOにおける2つの認証制度と4つのサプライチェーンモデル
RSPOの認証制度は、農園・搾油工場を対象とした「生産段階の認証」と、その後の流通・加工・製品化を対象とした「サプライチェーン段階の認証」の2層構造で成り立っています。
さらにサプライチェーン段階には4つのモデルが設けられており、企業はトレーサビリティの確保水準やコスト面を考慮してどのモデルを採用するかを選択します。それぞれの違いを以下で詳しく整理します。
P&C認証
アブラヤシ農園や搾油工場を対象とした認証です。RSPOが定めた8つの原則・43項目の基準を満たす持続可能な生産が行われているかを審査・認証するものであり、環境保全・労働者の権利保護・地域コミュニティとの関係など幅広い観点から評価されます。
SC認証
P&C認証で生産されたパーム油を扱う製造・加工・流通過程の各組織を対象とした認証制度です。パーム油を仕入れる商社・加工業者・食品メーカーなど、最終製品が出来上がるまでの各工程で製品の所有権を持つ組織が認証の対象となります。食品メーカーがRSPO認証パーム油を使用した製品を製造・販売し、製品にRSPOロゴを表示するためには、このSC認証の取得が必要です。
4つのサプライチェーンモデルの違い(IP・SG・MB・B&C)
SC認証には、トレーサビリティの確保方法と認証油の取り扱い方法の違いにより4つのモデルが設けられています。それぞれ特徴・コスト・製品へ表示できるロゴが異なるため、自社の調達状況や目指すサステナビリティ水準に応じて適切なモデルを選ぶことが重要です
| 認証方式 | 略称 | 内容 | トレーサビリティ |
| Identity Preserved | IP | 「この農園の油だけを使いました」 と断言できる、最も厳格な管理方法です。製品に使われている油が、どの認証農園で作られたかまで完全に追跡できます。 | ◎(農園まで特定可能) |
| Segregated | SG | 「認証農園の油だけを使いました」 と断言できる管理方法です。複数の認証農園の油が混ざりますが、非認証の油とは完全に区別されます。 | 〇(認証農園由来) |
| Mass Balance | MB | 製造・流通過程で認証油と非認証油が混ざりますが、購入した認証油の「量」に見合った分だけ、最終製品をRSPO認証製品として販売できる方法です。 | △(帳簿上のみ) |
| Book and Claim | BC | 物理的な認証油は使用せず、RSPO認証農園を支援するための「証書(クレジット)」を購入する方法です。製品そのものではなく、企業の貢献活動として認められます。 | ×(物理的追跡不可) |
参照:2.2. パーム油の持続可能性に関する認証システムの概要|農林水産省
食品メーカーがRSPO認証に取り組むメリット
食品メーカーがRSPO認証パーム油を導入することで、以下3つのメリットがあります。
メリット1:ESG経営・SDGsへの貢献
環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を重視するESG経営は、今や企業価値を測る上で不可欠な指標です。
持続可能な原料調達への取り組みは企業のブランドイメージ向上と競合他社との差別化につながるほか、環境・人権リスクを原材料調達の段階から低減することで、長期的な経営リスクの軽減にも寄与します。
また、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の目標12「つくる責任 つかう責任」や、目標15「陸の豊かさも守ろう」の達成にも繋がるため、貴社がサステナビリティを重視する、責任ある企業であることの明確な訴えになるでしょう。
メリット2:国内外の取引先からの要求への対応
近年、国内外の大手小売業者やグローバル企業は、サプライヤーに対して持続可能な原料調達を求める傾向を強めています。
取引契約の中で、RSPO認証パーム油の使用を条件とする企業も増えており、認証への対応は、こうした大手企業との取引を維持・拡大していく上で不可欠な要素となりつつあります。
RSPO認証に対応した食品原料の選び方
RSPO認証に対応した商品開発を成功させるためには、上流工程である原料選定の段階が重要です。ここでは、RSPO認証対応の食品原料を選ぶ際に確認すべき3つのポイントを解説します。
対応するサプライチェーン方式を確認する
サプライヤーへの最初の問い合わせで、まず確認すべきなのが、対応可能なサプライチェーン認証方式です。自社が取得を目指す認証モデルと、仕入れ先が対応しているモデルが一致していなければ、認証の要件を満たすことができません。
たとえば自社がSG(セグリゲーション)モデルで認証取得を目指している場合、供給元もSG対応の認証パーム油を取り扱っている必要があります。MBモデルであれば対応できる供給元の選択肢は広がりますが、それでも供給元がRSPO認証のSCCS認証を取得しているかどうかは必ず確認してください。
対応モデルを事前にすり合わせておくことが、後々のトラブル防止につながります。
認証書類の有無とトレーサビリティを確認する
RSPOの認証書類が適切に整備されているかも確認すべきポイントです。供給元がRSPOのSCCS認証を取得していることを示す有効な認証証書を保有しているか、またRSPOの公式トレーサビリティシステムであるPalmTraceに登録・運用されているかを確認します。
書類の不備や認証の失効は、自社製品へのRSPOロゴ表示ができなくなるリスクに直結します。また取引先や監査機関からトレーサビリティの証明を求められた際に、書類が揃っていなければ対応できません。信頼できる供給元であれば、これらの書類を速やかに提示できる体制が整っているはずです。初回取引の前に確認しておきましょう。
供給の安定性と幅広いラインナップがあるか確認する
RSPO認証対応の原料は、通常のパーム油に比べて流通量が限られる場合があります。そのため、継続的かつ安定した供給を受けられるかどうかは、供給元を選ぶうえで見落とせない観点です。
また、食品メーカーとして複数の製品ラインナップを持つ場合、RSPO認証パーム油だけでなく、それを使用したショートニングやマーガリン、粉末油脂、MCTオイルなど、用途に応じた多様な品目をまとめて調達できる供給元であることが望ましいです。
窓口が一本化されることで、認証管理の手間が減り、書類対応もスムーズになります。供給実績・取扱品目の幅・在庫の安定性を総合的に確認したうえで、長期的に付き合える供給元を選ぶことが重要です。
まとめ
RSPO認証とは、パーム油の生産・流通にかかわる環境・社会問題を解決するために設けられた国際認証制度です。企業のサステナビリティへの取り組みは重要な経営課題とされており、今後さらに多くの取引で持続可能な原料調達が求められていくでしょう。そのため、企業戦略の一環としても早期にRSPO認証への対応を進めていくことが大切です。
永和物産は、RSPO認証パーム油をはじめ、お客様のサステナビリティへの取り組みをサポートする多様な原料を取り扱っています。認証原料の導入相談や、貴社の実態に合わせた提案・サンプルのご依頼など、まずはお気軽にお問い合わせください。
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