ビーフエキスとは?概要や製造、活用方法、選定方法まで解説
製品の味づくりを左右するビーフエキス。牛肉や牛骨から抽出された旨味成分は、スープやソース、加工食品など幅広い用途で活用され、味の深みやコクを引き出します。しかし一口にビーフエキスといっても、製法や原材料、濃度、風味などによってその特徴はさまざまです。
本記事では、ビーフエキスの概要や製造方法ごとの特徴、食品業界での活用例、仕入れの際の選び方を紹介します。自社製品に最適なビーフエキスを選ぶ際の参考にしてください。
目次
ビーフエキスとは?
ビーフエキスとは、牛由来の旨味を凝縮した調味素材として、多くの食品に活用されている原料です。ここでは、ビーフエキスの基本的な定義や特性について理解した上で、ビーフパウダーやビーフオイルといった他の牛由来調味料との違いを整理します。
ビーフエキスの基礎知識
ビーフエキスとは、牛肉や牛骨などから水や熱、酵素などを用いて旨味成分を抽出し、それを濃縮した調味原料のことです。エキスには、肉由来のアミノ酸やペプチド、核酸などが豊富に含まれており、料理にコクや深み、肉らしい旨味を加えることができます。
ソースやスープ、カレーやハンバーグなどの加工食品、調味料原料として広く使われており、業務用・家庭用を問わず食品業界で欠かせない素材です。
ビーフエキスと他の牛由来調味料との違い
ビーフエキスと似たような牛由来の調味料に、ビーフパウダーやビーフオイルがあります。
ビーフパウダーは、牛肉そのものを乾燥して粉砕したものです。一方、ビーフオイルは牛の脂肪組織から抽出された風味油で、牛肉の香ばしい風味やコクを付与するための調味油です。
用途に応じて、単独または組み合わせて使用することで、食品に深みのある肉の風味を加えることができます。
ビーフエキスの製造方法
ビーフエキスの風味や濃度は、どんな圧力・温度で抽出したかによって大きく左右されます。例えば、『常圧抽出』は、素材本来の豊かな風味と繊細な香りを引き出すことに最も長けている方法です。
ビーフエキスの製造方法には、大きく分けて以下の3種類があります。
- 常圧抽出(煮出し法)
- 加圧抽出
- 酵素分解抽出
それぞれの製造方法の特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。
常圧抽出(煮出し法)
常圧抽出は、鍋などで牛骨や牛肉を水とともに長時間じっくり煮込んでエキスを抽出する方法です。高温を避け、一定の大気圧下で時間をかけて煮出すことで、素材の不要な変化を最小限に抑え、香り高くコクのある旨味を引き出すことができます。
一方、抽出には時間がかかり、効率や一度に得られるエキスの量は他の方法に比べて劣る側面もあります。しかしながら、そのデメリットに勝る風味の良さが、品質を重視するお客様に選ばれる理由となっています。
加圧抽出
加圧抽出は、圧力鍋や密閉釜を用いて高温・高圧下で抽出する方法です。高温・高圧環境で短時間に煮出すことで、常圧より短い時間でエキスを取り出すことができます。加圧により抽出効率と収率が向上し、大量生産やコスト削減に有利な方法です。
しかし、高温高圧による抽出では一部の香気成分が飛散・分解したり、熱による風味変化が起きやすく、得られるエキスの風味は常圧抽出に比べるとやや劣る傾向にあります。
酵素分解抽出
酵素分解抽出は、タンパク質分解酵素などを用いて、牛肉や牛骨のタンパク質を分解し、アミノ酸やペプチドなどの旨味成分を引き出す方法です。収率が高く、旨味の強い成分を豊富に含むため、少量での効果が期待できます。
一方で、処理条件によっては苦味や雑味が出ることもあるため、酵素の選定や工程管理が重要です。
ビーフエキスの食品業界での活用例
ビーフエキスは、味づくりの基礎を支える素材として、食品業界の幅広い製品に活用されています。ここでは、用途別に代表的な活用例を紹介します。
1. ソース・スープ類
ビーフエキスは、デミグラスソースやビーフシチュー、ラーメンスープなど、液体系調味料のベースとして活用されます。
料理全体の旨味や深みを支える土台となる素材であり、少量でも風味に大きな差が生まれます。特に洋風調理や牛肉系スープのコク出しには欠かせません。
【ソース・スープ類の活用例】
デミグラスソース、ビーフシチュー、カレー、ハヤシライス、ステーキソース、焼肉のたれ、ミートソース、ビーフコンソメ、オニオングラタンスープ、ラーメンスープ(牛骨系、ビーフ系)、ポタージュなど
2. 加工食品
ハンバーグやシチューのレトルト製品、カレーなど、肉を使った加工食品にもビーフエキスの活用例の1つです。実際の肉や骨からとった出汁を大量に準備するのは非効率なため、手軽にうま味とコクをプラスできるビーフエキスが重宝されています。
少量でも料理全体に肉の風味が広がり、まるで長時間煮込んだような深みのある味わいに仕上がります。
【加工食品の活用例】
具体例:ハンバーグ、ミートボール、ソーセージ、カレー、シチュー、パスタソース、ビーフジャーキー風味のスナックや、ポテトチップスなど
3. 業務用調味料
ラーメンのスープベース、焼肉のたれ、コンソメ粉末など、業務用に供給される調味料にもビーフエキスは多く使用されます。
風味設計の幅広さやコスト調整のしやすさから、外食産業や食品OEM製造の現場でもニーズが高く、液体・ペースト・粉末といった多様な形態が求められます。
【業務調味料の活用例】
コンソメ、ラーメンスープの素、焼肉のたれ、すき焼きのたれなど
ビーフエキスの選び方
食品メーカーがビーフエキスを調達する際は、自社製品にあったビーフエキスを選ぶことが重要です。以下の点をもとに比較・検討するとよいでしょう。
1. 原材料(産地、部位)
原材料の産地や部位を確認しましょう。国産か輸入品か、肉主体か骨主体か、特定のブランド牛(例:和牛)由来のエキスかによって味わいが変わります。
産地や部位の情報を把握することで、それがどのような品質や風味につながるかを判断しやすくなります。
2. 風味・品質
一口にビーフエキスといっても風味はさまざまです。サンプルを取り寄せ、実際の味や香りを確認しましょう。
同じビーフエキスでも、ローストタイプ、煮込み系、あっさり系など風味のバリエーションがあります。自社製品のイメージに合致したものを選ぶことが重要です。
3. 添加物の有無
添加物の有無も、確認しておきたい項目の1つです。ビーフエキス製品には、純粋なビーフエキスだけでなく、食塩、うま味調味料、保存料などが添加されているものもあります。
食塩やうま味調味料が添加されていない、あるいは少ない製品のほうが、味の調整が柔軟に行え、クリーンラベルへの対応もしやすくなります。
自社の商品コンセプトや顧客層に合わせて、無添加のビーフエキスを選ぶか、あるいはコストや風味のバランスを考えて、他の調味成分を含むものを選ぶか判断しましょう。
4. 認証状況
品質や安全性を判断するために、以下のような認証状況も確認しておきたい項目の1つです。
- ISO9001:製品やサービスの品質を継続的に改善する体制が整備されていることを示す国際規格。
- FSSC22000、HACCP:原材料の受け入れから製品出荷まで、衛生管理や危害要因の分析・管理が徹底されていることを保証する制度。
- ハラル認証:イスラム教徒が摂取可能な食品であることを証明する認証。
- コーシャ認証:ユダヤ教の戒律に則った食品であることを示す認証。
製品の流通地域やターゲット層に応じて、必要な認証を取得しているかチェックしておきましょう。
5. 供給の安定性
定期的な調達が必要な食品メーカーにとって、供給の安定性も重要な選定基準です。必要な量を、必要なタイミングで安定的に供給できるかどうかは、製造計画や在庫管理に直結します。
自社の需要が急に増加した場合でも、柔軟に対応できる体制があるかどうかを事前に確認しておくことが大切です。
6. 価格とコストパフォーマンス
価格とコストパフォーマンスも、ビーフエキス選定に必要な判断軸の1つです。価格は製品の原価構成や販売戦略に影響を与えるため、慎重に検討する必要があります。
ただし安ければいいわけでなく、価格と品質のバランスが取れているかを見極めることが重要です。その他、製品への添加量(濃縮度合い)や歩留まりも考慮し、総合的に判断しましょう。
さらに近年は、牛肉の価格に加えて人件費・光熱費・工場賃料の高騰が続き、原料から自社抽出するコスト負担が急増しています。ビーフエキスを活用すれば抽出に要するコストを大幅に削減できることも踏まえて、価格を検討しましょう。
まとめ
ビーフエキスは食品メーカーにとって、製品のおいしさを左右する重要な原料です。ソースやスープの味に厚みを持たせ、製品価値を高めることができます。
特に「常圧抽出」によってじっくりと時間をかけて抽出されたビーフエキスは、素材本来の自然で深みのある味わいを実現し、他の製法では得られない繊細で上質な風味をもたらします。これは、最終製品の品質を格段に高める要素となります。
最適なビーフエキスを選ぶためには、求める風味や品質はもちろん、製造方法の違いがもたらす風味特性を理解することが不可欠です。
永和物産では、常圧抽出によって丁寧に作られた高品質なビーフエキス製品を取り扱っております。用途やご希望に応じた提案も可能なため、お気軽にお問い合わせください。
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