MCTオイルとは?食品開発に役立つ基礎知識|種類や活用事例を紹介

MCTオイルとは?食品開発に役立つ基礎知識|種類や活用事例を紹介

近年、健康食品や機能性食品の分野で注目を集めている「MCTオイル」。体脂肪として蓄積されにくく、エネルギー源として即利用されやすい特性から、食品業界でも幅広い活用が期待されています。

本記事では、食品メーカーや食品工場など企業の担当者向けに、MCTオイルの基礎知識や他のオイルとの違い、種類ごとの特徴、そして食品開発への具体的な応用事例を解説します。

MCTオイルを使った自社商品の開発や調達先の検討にお役立てください。

MCTオイルとは

MCTオイルは「Medium Chain Triglyceride(中鎖脂肪酸トリグリセリド)」の略称で、炭素数6〜12の脂肪酸が主成分のオイルです。

一般的なサラダ油やオリーブオイルの主成分は「長鎖脂肪酸」ですが、MCTオイルはココナッツやパームフルーツなどに含まれる「中鎖脂肪酸」を抽出して作られています。
脂肪酸は、炭素原子が鎖のようにつながった構造をしています。一般的な油の長鎖脂肪酸に比べて、中鎖脂肪酸は炭素の鎖が約半分と短いのが特徴です。

MCTオイルは分子の長さが短いため、体内に複雑な分解プロセスを必要とせず、スムーズに消化・吸収されます。この構造的な違いが、MCTオイルならではの様々なメリットを生み出しています。

たとえば、カプリル酸(C8)やカプリン酸(C10)は、体内で速やかに代謝される代表的な中鎖脂肪酸です。スポーツやダイエット向けのサプリや食品に頻繁に利用されるほか、医療・介護食の分野においても高い評価を得ています。

MCTオイルの特性と他のオイルとの違い

ここでは、MCTオイルの特性と一般的な食用油との違いを解説します。

長鎖脂肪酸(LCT)との違い

一般的な食用油に含まれる脂肪酸の多くは、炭素数が14以上の長鎖脂肪酸(LCT)です。LCTを含む油脂は、腸でキロミクロンという物質に取り込まれてリンパ管を経由し、ゆっくりと代謝されます。

そのため、エネルギーとして使われるまでに時間がかかり、余った分が体脂肪に蓄積されやすいと言われています。

一方、MCTオイルは炭素数が短いため、分解後は直接肝臓へ運ばれやすく、短時間でエネルギーとして利用されます。この速さがスポーツ時やダイエット中の栄養補給に活かされ、体脂肪として残りにくい点も注目される理由の一つです。

消化能力の低下した方や高齢者にも負担が少ないため、医療・介護食でも採用が増えています。

ココナッツオイルとの違い

ココナッツオイルは中鎖脂肪酸を多く含むとされますが、その中でもラウリン酸(C12)の割合が高い点が特徴的です。ラウリン酸(C12)は中鎖脂肪酸に分類される場合とそうでない場合がありますが、カプリル酸(C8)やカプリン酸(C10)よりも消化吸収がやや遅い性質を持ちます。

ココナッツオイルは特有の甘い香りがありますが、MCTオイルは無味無臭に近い形で精製されているものが大半です。そのため、製品開発の際に素材の風味や香りを邪魔せずに機能性をプラスしたい場合は、MCTオイルがより使いやすいと言えるでしょう。

亜麻仁油(アマニ油)との違い

MCTオイルは、摂取後すぐにエネルギーとして利用される速効性が特徴です。そのため、トレーニング前のエネルギー補給や、集中力を高めたい時に適しています。

一方、亜麻仁油はα-リノレン酸というオメガ3系の長鎖脂肪酸が豊富で、日々の健康維持や体質改善といった、長期的な視点での活用が目的です。

このように、即効性のエネルギー源ならMCTオイル、製品の栄養価(オメガ3)を訴求するなら亜麻仁油と、目的によって使い分けることができます。

MCTオイルの種類とそれぞれの特性

MCTオイルに含まれる脂肪酸は主に、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)、そして場合によってはラウリン酸(C12)の3種類に大別されます。

それぞれ代謝速度や風味への影響、価格帯などが異なるため、製品の用途やターゲット層に合った選び方が重要です。

カプリル酸(C8)

カプリル酸(C8)は中鎖脂肪酸のなかでも特に分子構造が短く、最も速く代謝されると言われています。燃焼効率が高い分、価格はやや高めになる傾向があります。

瞬時にエネルギーを補給したい場面や、高価でも高付加価値な健康食品を開発したい際に活用されることが多いです。

カプリン酸(C10)

カプリン酸(C10)はカプリル酸(C8)より分子構造が少し長く、代謝速度もやや遅い代わりに、安定したエネルギー供給が期待できるとされます。

カプリル酸(C8)に比べると価格も比較的落ち着いており、扱いやすい点が特徴です。多くのMCTオイル製品はカプリル酸(C8)とカプリン酸(C10)を混合した形で販売されているため、用途に応じた配合バランスを確認すると良いでしょう。

ラウリン酸(C12)

ラウリン酸(C12)はココナッツオイルに豊富に含まれる脂肪酸で、中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の中間的な性質を持ちます。

消化吸収のスピードはカプリル酸(C8)やカプリン酸(C10)ほど速くないため、高度に純度を高めたMCTオイルの中にはラウリン酸(C12)を含まず、カプリル酸(C8)やカプリン酸(C10)を中心に作られた製品もあります。

ココナッツオイル特有の香りや抗菌性を活かしたい場合は、ラウリン酸(C12)を含む配合が好まれるケースもあります。

このように製品コンセプトに応じて、即効性の高いC8が豊富なタイプや、バランスの取れたタイプなどを選定することが重要です。永和物産では、お客様の多様な製品コンセプトに対応できるよう、「MCTオイル(80/20)」から「MCTオイル(60/40)」まで、複数の脂肪酸組成の製品をラインナップしております。

MCTオイルの製造方法

MCTオイルは、ココナッツオイルやパーム核油などを原料に、圧搾・抽出・分離・エステル化・精製といった工程を経て作られます。

1. 原料の選定

主な原料はココナッツオイルかパーム核油です。中鎖脂肪酸の含有率、安定した供給ルート、品質管理体制などを考慮しながら選定されます。

2. オイルの抽出

圧搾法や溶剤抽出法を使い、ココナッツやパームの種子から油を取り出します。圧搾法はナチュラルな工程ですが歩留まりが低いことも多いです。一方、溶剤抽出法は大量生産に向いていますが、溶剤の残留物などの管理が重要になります。

3. 脂肪酸の分解と分離

抽出された油を加水分解し、遊離脂肪酸を分離します。ここで短鎖、中鎖、長鎖といった脂肪酸に振り分けられます。MCTオイルのための中鎖脂肪酸(C8やC10)を抽出するために高純度化します。

4. エステル化(脂肪酸とグリセリンの結合)

分離した中鎖脂肪酸をグリセリンと再結合させ、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を合成します。分子構造を安定化させることで、オイルとしての機能や品質を保ちやすくなります。

5. 精製とろ過

不純物や残留物、酸化物質などを取り除き、無味無臭に仕上げます。医療・介護食など安全性や品質面が厳しく求められる分野では、この工程の徹底が重要になります。

MCTオイルの食品業界での活用事例

MCTオイルは速やかなエネルギー源としての特性や無味無臭で使いやすい点を活かして、さまざまな食品分野で採用されています。完成した食品に「混ぜる・かける」のが基本的な使い方のため、後から添加しやすいのが特徴です。

飲料や調味料、介護・医療食、スポーツやダイエット向け食品などの分野で用途が拡大しています。

飲料

MCTオイルは、後から混ぜたりかけたりするだけで手軽に使えるため、飲料との相性は抜群です。バターコーヒーやプロテインドリンク、スムージーなどに配合し、エネルギー補給や満腹感の向上を図ることができます。

MCTオイルは無味無臭なのでドリンクの風味を損なわず、手軽に脂質を補給できるのがメリットです。糖質制限やダイエットを志向する消費者から特に高い支持を得ています。

調味料や加工食品

ドレッシングやマヨネーズ、スープ、ソースなどの調味料では、原材料の植物油の一部をMCTオイルに置き換えたり、ブレンドしたりすることで活用されます。また、焼き菓子やスナック菓子、栄養バーなどの生地に練り込むことも可能です。

既存のレシピに加えるだけで、手軽に「機能性」を加えられるため、健康志向の市場ニーズに向けた商品開発やリニューアルに適しています。

医療・介護食

消化吸収の負担が少ないことから、手術後の栄養補給や高齢者向けの介護食にも活用が進んでいます。食事量が十分に確保しにくい場合でも、お粥やスープなどに後から混ぜるだけで、食事全体のボリュームを保ったまま、エネルギーを効率的に摂取できるのが利点です。

食事の負担を減らすだけでなく、調理の手間なく手軽に栄養価を高められるため、多くの医療機関や介護施設で活用が始まっています。

スポーツ・ダイエット向け食品

トレーニングや試合前後の素早いエネルギー補給源として、MCTオイルはアスリート向け食品開発において注目されている原料です。近年の研究では、日常的に摂取することで筋肉量の維持・増加を助けながら、体脂肪の蓄積を抑え、減少させる効果も期待できると報告されています。

糖質を抑えて脂質からエネルギーを得るケトジェニックダイエットを実践する際にも、MCTオイルは便利な選択肢です。エナジーバーやプロテインバーに配合することで、持続力と満足感の両方を高めやすくなります。

まとめ

MCTオイルは炭素数が短い中鎖脂肪酸を豊富に含んでおり、体内に蓄積されにくいエネルギー源として注目を集めています。ココナッツオイルや一般的な長鎖脂肪酸の油と比較すると、代謝速度の速さと無味無臭である点が大きな違いです。

飲料や調味料、介護食、スポーツ・ダイエット向けなど、多方面で利用価値が高まりつつあります。自社製品にMCTオイルを取り入れる場合は、まずは用途や想定顧客に合わせて、C8やC10の配合割合や品質、安定供給が可能な仕入れ先を検討すると良いでしょう。

たとえば、永和物産では、さまざまな中鎖脂肪酸の組成や用途に合わせたMCTオイル製品を取り扱っています。以下の各種商品ページを参考に、開発中の製品に最適なオイルを選んでみてください。

▶︎MCTオイル(60/40)

▶︎MCTオイル(70/30)

▶︎MCTオイル(80/20)

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