MCTオイルとココナッツオイルの違いとは?食品業界担当者向けに解説

MCTオイルとココナッツオイルの違いとは?食品業界担当者向けに解説

ココナッツオイルは中鎖脂肪酸を約60%含む天然の植物油ですが、MCTオイルはそこから特定の中鎖脂肪酸のみを100%抽出した機能性オイルである点が大きな違いです。

「どちらも中鎖脂肪酸だから同じでは?」「自社製品には、どっちを使えばいいの?」という疑問をお持ちの開発担当者様も多いのではないでしょうか。

今回は、MCTオイルとココナッツオイルの違いや、製品コンセプトに合わせた選び分けのポイントなどを詳しく紹介します。この記事を読んで、単なるイメージだけでなく、成分や物性の違いを理解し、原料選定を見直してみてください。

MCTオイルとココナッツオイルの基礎知識

MCTオイルとココナッツオイルは、どちらも中鎖脂肪酸を含むオイルですが、成分構成と由来は大きく異なります。まずは、MCTオイルとココナッツオイルがそれぞれどのようなオイルなのか、基本的な定義から見ていきましょう。

MCTオイルとは

MCTオイルは、ココナッツオイルやパーム核油から中鎖脂肪酸(MCT)のみを抽出・精製して作られたオイルです。MCTとは中鎖脂肪酸(Medium Chain Triglyceride)の略称で、一般的な油に含まれる長鎖脂肪酸とは異なる性質を持ちます。

MCTオイルの最大の特徴は、消化・吸収が速く、効率的にエネルギーになる点です。この機能性を高めるために、原料から特定の中鎖脂肪酸だけを取り出して製造されます。

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ココナッツオイルとは

ココナッツオイルとは、ココヤシの果実から抽出される天然の植物油です。天然の食品の中では珍しく、脂肪酸組成の約60%が中鎖脂肪酸で構成されている点が特徴です。

製法によって、ココナッツ特有の甘い香りが残っている「バージンココナッツオイル」と、精製処理によって風味や香りを取り除いた「RBDココナッツオイル」に大別されます。

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MCTオイルとココナッツオイルの違い

MCTオイルとココナッツオイルの違いは、以下のとおりです。

  • 中鎖脂肪酸の「純度」と「種類」
  • エネルギーへの「変換速度」と「機能性」
  • 風味と香り
  • 形状(凝固点)と物性

それぞれの違いについて専門的な観点から深堀りしていきます。

1. 中鎖脂肪酸の「純度」と「種類」

MCTオイルとココナッツオイルの本質的な違いは、中鎖脂肪酸の「純度」と「種類(脂肪酸組成)」にあります。

MCTオイルは中鎖脂肪酸の純度が100%であり、その中でもエネルギーになりやすいC8(カプリル酸)・C10(カプリン酸)が主成分です。

一方で、ココナッツオイルの中鎖脂肪酸含有率は約60%で、残りの約40%は長鎖脂肪酸など他の脂肪酸です。さらに、その中鎖脂肪酸の約半分は、代謝が比較的緩やかなC12(ラウリン酸)で構成されています。

2. エネルギーへの「変換速度」と「機能性」

エネルギーへの変換速度は、脂肪酸の分子構造(鎖の長さ)によって決まります。C8・C10が主体のMCTオイルは、C12が主体のココナッツオイルよりも速やかに消化・吸収され、エネルギーに変換されます。

そのため、素早いエネルギー補給といった機能性を重視する製品には、MCTオイルが適しています。

3. 風味と香り

製品の風味設計において、MCTオイルとココナッツオイルの役割は明確に異なります。

高度に精製されたMCTオイルは無味無臭であるため、製品本来の風味を一切変えることなく、機能性のみを付与したい場合に最適です。

一方、特有の甘い香りを持つココナッツオイルは、その風味自体を製品の個性やコンセプトとして活かしたい場合に適しています。風味を加えるのか加えないのか、製品の目的に合わせて適切に使い分けることが重要です。

4. 形状(凝固点)と物性

MCTオイルとココナッツオイルは、温度による形状の変化といった、物性にも違いがあります。MCTオイルの場合は、凝固点が低く、冷蔵環境でも液状を保つのが一般的です。

一方、ココナッツオイルの場合は、約20〜25℃以下で固化するという性質を持ちます。この物性の違いは、製造工程での扱いやすさや、最終製品のテクスチャー設計に直接影響します。

食品業界での活用例と用途別の選び分け

両者の特性の違いを踏まえ、どのような製品コンセプトにどちらのオイルが適しているかを、具体的な活用例と共に解説します。

MCTオイルの活用例

MCTオイルは、その機能性をダイレクトに訴求したい製品開発に適しています。素早いエネルギー補給や糖質制限(ケトジェニック)のサポートといった明確な効果を持つため、健康志向の強い消費者に響きやすい製品を設計できます。

スポーツドリンクやプロテインバー、バターコーヒー用のオイル、介護食などが代表例です。無味無臭であるため、既存の風味を一切変えずに機能性だけを付与できる点が、開発担当者にとって大きなメリットです。

【活用例】
スポーツドリンク、プロテインバー、バターコーヒー用オイル、介護食・栄養補助食品、風味をつけたくないドレッシングなど。

ココナッツオイルの活用例

ココナッツオイルは、製品のコンセプトに合わせて活用することが重要です。一口にココナッツオイルと言っても、その特性の活かし方は異なります。

例えば、特有の甘い風味を活かしたい場合は、焼き菓子(クッキー、グラノーラ)や、カレーなどのエスニック系食品が効果的でしょう。一方、約25℃以下で固まる性質を活かしたい場合は、ヴィーガン向けチョコレートや植物性バターの代替として向いています。

【活用例】
焼き菓子(クッキー、グラノーラ)、カレー・エスニック系レトルト食品、ヴィーガン向けチョコレート、植物性バター・マーガリンなど。

業務用原料としての選び方のポイント

業務用原料としてMCTオイルやココナッツオイルを仕入れる際には、製品コンセプトへの適合性に加え、品質や安定供給など、事業の継続性を左右する多角的な評価が不可欠です。

1. 製品コンセプトとの適合性

MCTオイルとココナッツオイルは特性が大きく異なるため、製品の目的から逆算して、コンセプトに合ったオイルを選定することが重要です。

例えば、MCTオイルは中鎖脂肪酸100%で構成され、機能性を最大限に引き出す設計のため、素早いエネルギー補給や糖質制限サポートなど、明確な機能性を訴求したい製品におすすめです。

一方、ココナッツオイルは天然由来の風味や常温で固まる性質を持ち、特有の風味を活かした焼き菓子や、固形性を利用したヴィーガン向けチョコレートなどの開発に向いています。

2. 品質と安全性

業務用原料としてオイルを導入する場合は、品質と安全性が十分なサプライヤーを選ぶことが重要です。

サプライヤーが公開している原料の由来(ココナッツ由来か、パーム核油由来か)や、各種認証(FSSC22000、HACCP等)の有無がチェックすべきポイントです。

万が一にも最終製品で安全性の問題などがあってはならないため、原料の品質管理体制には特に注意してください。

3. 供給の安定性とコスト

新しい原料を導入する際には、「必要な時に、必要な量がきちんと届くか」という供給の安定性と、「コストが見合うか」という点は常に課題となります。

そのため、供給体制が盤石で、コストパフォーマンスに優れたサプライヤーを選ぶことが重要です。サプライヤーによって供給能力や価格設定は異なるため、自社が求める条件と合致しているかを考慮する必要があります。

年間を通じて安定供給できるか、そして単なる単価だけでなく、品質や製品価値への貢献度を含めたトータルコストで優れているかを確認するようにしましょう。

4. 取り扱い上の注意点(加熱など)

機能性が高いMCTオイルは魅力的に見えますが、取り扱いには注意が必要です。MCTオイルは発煙点が低く、揚げ物などの高温調理には向きません。ココナッツオイルも、製品によって耐熱性は異なります。

こうした耐熱性の違いは、製造ラインでの温度管理や、最終製品に記載する調理法にも影響します。製品の特性を理解し、製造工程や最終的な用途に合ったオイルを選ぶことが重要です。

まとめ

MCTオイルとココナッツオイルは、食品開発における重要な機能性素材です。それぞれ役割が異なり、どちらも製品の価値を高めるために欠かせません。

製品開発で大切なことは、製品コンセプトや製造ラインに合ったオイルを使うことです。機能性を追求しすぎるあまり風味を損なったり、逆に風味を重視するあまり期待した機能性が得られなかったりということがないよう、バランスや使い分けが重要です。

また、オイルを選んだ後は、品質や安定供給が保証されたサプライヤーから仕入れることも大切です。

永和物産では、機能性に特化したMCTオイルをはじめ、多様な製品開発に対応するラインナップをご用意しています。原料選定でお困りの際は、ぜひご相談ください。

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