パーム核油の基礎と活用法を、食品業界担当者向けに解説

パーム核油の基礎と活用法を、食品業界担当者向けに解説

パーム核油とは、アブラヤシの種子から抽出される油脂であり、シャープな融点や優れた酸化安定性を特徴とする原料です。

近年、食品業界ではココナッツオイルやカカオバターの代替素材として注目されており、製品の品質向上とコスト最適化を支える重要な役割を担っています。

本記事では、パーム核油の定義やパーム油との違い、油脂としての特長を分かりやすく解説します。製菓や乳製品代替における具体的な活用事例も紹介しているので、製品の品質向上やコスト最適化を検討している食品業界の方は、ぜひ参考にしてください。

パーム核油とは?読み方や基礎知識

まずは、パーム核油の定義や読み方、混同されやすいパーム油との違いについて解説します。原料の由来や食品業界における立ち位置を整理することで、この油脂が持つ独自の役割を理解していきましょう。

パーム核油の定義と読み方

パーム核油は、一般的に「パームかくゆ」と読み、英語では「Palm Kernel Oil」、略して「PKO」と呼ばれます。その名の通り、アブラヤシの果実の中心部にある「核(種子)」を原料として採取される植物油脂です。

市場や用途によっては「パーム核オイル」や「カーネルオイル」といった呼称が用いられることもありますが、食品業界の原料規格としては「パーム核油」と表記されるのが通例です。

パーム油(パーム原油)との違い

混同されやすい名称ですが、「パーム油」と「パーム核油」は、同じアブラヤシから採取されるものの、全く異なる性質を持つ油脂です。パーム油が果実の「果肉部分」から抽出されるのに対し、パーム核油は「種子」から抽出されます。原料部位が異なることで、脂肪酸組成には大きな差が生まれます。

パーム油は、常温で半固形、加熱すると液体になる性質を持っています。一方、パーム核油は、より硬い固形性を持ちつつ、特定の温度で急激に溶けるのが特徴です。両者は別物として区別して扱う必要があるため、レシピ策定の際には注意が必要です。

パーム油とパーム核油の違い|成分・融点から食品用途の使い分けまで

パーム核油の特性と成分

食品加工の現場でパーム核油が重宝される背景には、他の植物油脂では代替できない物理的特性があります。また近年では、加工適性だけでなく、その機能性から健康面での付加価値も注目され始めました。

ここでは、商品開発において重要となるパーム核油の具体的な特性と、構成する成分について解説します。

ラウリン酸系油脂としての特徴

パーム核油は、全脂肪酸の約半分をラウリン酸が占めます。これは熱帯植物であるココヤシから採れるココナッツオイルと非常に酷似した組成です。ラウリン酸を多く含む油脂は、酸化安定性に極めて優れており、長期間の保存でも変質しにくいというメリットがあります。

そのため、ココナッツオイルの風味が強すぎると感じる場合や、より安定した物性を求める局面において、パーム核油はその代替素材として最も頻繁に利用されています。

シャープな融点と口溶けの良さ

パーム核油の特徴は、固体から液体へと変化する温度帯が極めて狭いことです。常温では硬い固形を維持しつつ、人の体温付近で一気に液状化する融解特性を持っています。

口に入れた瞬間に熱を奪いながら溶けるため、清涼感のある独特な口当たりや、コーティングチョコにおけるパリッとした食感を生み出します。

中鎖脂肪酸(MCT)の含有

近年、健康機能性の観点から注目を集めているのが、パーム核油に含まれる中鎖脂肪酸(MCT)です。パーム核油にはカプリル酸やカプリン酸といった中鎖脂肪酸が一定量含まれており、これらは体内で速やかにエネルギーとして代謝されるという特徴を持っています。

そのため、単なる加工用油脂としてだけでなく、機能性食品やスポーツ栄養、高齢者向けのエネルギー補給食品の原料としても活用範囲が広がっています。

食品業界でのパーム核油の活用事例

パーム核油の持つ機能性は、多種多様な食品カテゴリーで実用化されています。コストダウンと品質向上の両立を目指す開発現場において、具体的にどのような形で導入されているのかを見ていきましょう。

1. チョコレート・製菓(カカオバター代用脂)

パーム核油の代表的な用途は、カカオバターの代替としての利用です。パーム核油を分別・加工した油脂は「ラウリン系ハードバター(CBS)」と呼ばれ、カカオバターに近い硬度と口溶けを再現できます。

高価なカカオバターの代わりに使用することでコストダウンを図れるだけでなく、テンパリング作業が不要になるため、生産効率も飛躍的に向上します。

特にビスケットやケーキのコーティング、夏場でも溶けにくい耐熱性が求められる準チョコレート製品において、パーム核油は不可欠な原料です。

2. アイスクリーム・冷菓

冷たい状態で食べることが前提となるアイスクリームや冷菓でも、パーム核油は活躍しています。アイスクリームの外側をコーティングするチョコソースに使用すれば、冷凍庫から出してすぐに食べた際にも、ベタつかずにパリッとした食感を楽しめます。

また、アイス自体の油脂分として配合することでなめらかな口当たりを実現しつつ、後味がしつこくない、あっさりとした清涼感を演出することも可能です。

3. ホイップクリーム・乳製品代替

パーム核油は、植物性ホイップクリームやコーヒーフレッシュ原料としても広く普及しています。乳脂肪に代わって用いることで、ホイップした際の保形性を高め、ケーキのデコレーションが崩れにくい安定性を付与できるのが強みです。

また、乳特有の重たさを軽減し、風味を邪魔しないクリアな味わいを実現できるため、現代の消費者が好む軽やかなクリームの開発には欠かせない素材となっています。

4. フライオイル・加工用油脂

酸化に対する強さを活かし、パーム核油は揚げ油やスプレーオイルとしても重宝されます。特にスナック菓子の仕上げに霧状にして吹き付けるスプレーオイルとして使用すると、製品の表面に美しい光沢を与えつつ、油回りの早い製品の品質劣化を効果的に抑えられる点がメリットです。

揚げ油としての利用では、他の液状油とブレンドすることで、フライ製品のサクサクとした食感を長時間持続させる効果が期待でき、惣菜やインスタント食品の品質安定化に貢献しています。

パーム核油の選定ポイント

パーム核油を導入する際には、その時々の市場環境や、求める製品のスペックに合わせた的確な選定が求められます。単に価格だけで選ぶのではなく、以下の視点を持って検討することが重要です。

ココナッツオイルおよびパーム油相場との関係

パーム核油の調達価格を把握するには、複数の油脂相場の連動性を理解する必要があります。主産地である東南アジアの天候や生産状況に加え、成分構成が極めて近いココナッツオイルの市場動向が価格に強く影響を及ぼすためです。

安定的な調達を実現するためには、単一の油脂データだけでなく、代替油脂を含めたグローバルな市場分析が不可欠です。パーム核油の選定や買い付けにおいては、複雑に絡み合う相場のサイクルを読み解き、最適なタイミングを見極める体制が求められます。

用途に合わせたグレード選定

パーム核油を最大限に活用するためには、最終製品に求められる口溶けや硬さに応じて最適なグレードを選択しなければなりません。単にパーム核油として一括りにするのではなく、精製度合いや加工方法による違いを理解した上で選定する必要があります。

特定の温度帯でのみパリッとした食感を出したいのか、あるいは広範囲の温度域で安定した保形性を維持したいのかなど、目的によって選ぶべき規格は異なります。

未精製、精製(RBD)、分別(パーム核オレイン/ステアリン)、水素添加など、最終製品の求める融点や食感に合わせて適切なグレードを選定しましょう。

まとめ

パーム核油は、ココナッツオイルやカカオバターの代替原料として、コストパフォーマンスと機能性のバランスに優れた重要な植物油脂です。

しかし、数あるグレードの中から用途に合致した最適な規格を選定し、安定的に調達するには専門的な知見が欠かせません。開発を成功へ導くためには、国際相場や油脂の特性に精通したパートナー選びが重要となります。

永和物産では、機能性素材として注目されるMCT(中鎖脂肪酸)の提案に力を入れています。健康志向の高まりに合わせて需要が急増しているMCTについて、お客様の製品コンセプトに合致した最適な形状でのご提案が可能です。

新商品の開発や既存製品の高付加価値化をご検討の際は、ぜひ油脂のスペシャリストである弊社までご相談ください。

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