タンパク質分解酵素を含む食品一覧|業務用の活用例と選び方を解説

タンパク質分解酵素を含む食品一覧|業務用の活用例と選び方を解説

タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)は、食肉の軟化や旨味の向上など、食品開発に役立つ成分です。食品メーカーの開発担当者であれば、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

パパイヤやパイナップルなどの食品にも含まれていますが、業務用として安定した効果を得るには、食材由来の酵素と精製された「酵素剤」との違いを理解し、正しく選ぶ必要があります。

今回は、タンパク質分解酵素を含む食品の一覧を紹介するとともに、食品開発の現場で役立つ業務用の活用例や、安定した品質を実現するための選び方について詳しく解説します。

タンパク質分解酵素とは?

タンパク質分解酵素とは、タンパク質を小さな単位(ペプチドやアミノ酸)に分解する働きを持つ酵素の総称です。プロテアーゼとも呼ばれます。

私たちの体内では、胃(ペプシン)や膵臓(トリプシン)などで消化酵素として働き、食べた肉や魚をアミノ酸に分解し、吸収しやすくしています。

食品加工の分野において、このタンパク質を分解するという働きは、製品の品質を大きく左右する重要な技術として利用されています。

  • 食感を柔らかくする(軟化):肉や魚の硬い筋繊維を分解し、柔らかくします。
  • 旨味を引き出す:タンパク質を旨味成分であるアミノ酸に分解し、製品のコクや深みを向上させます。
  • 性質を変える:小麦のグルテンに作用し、パン生地を扱いやすくするなど、原料の物理的な性質を変化させます。

タンパク質分解酵素を含む食品一覧

ここでは、タンパク質分解酵素を多く含み、古くから食品加工にも利用されてきた代表的な食材を、含まれる酵素の種類とともに一覧で紹介します。

1. 果物類

特定の果物には、強力なタンパク質分解酵素が含まれています。

主な食材(果物) 含まれる主な酵素名
パパイヤ(特に未熟なもの) パパイン
パイナップル ブロメライン
キウイフルーツ アクチニジン
イチジク フィシン
メロン ククミシン

2. 野菜・その他

野菜や発酵食品の中にも、タンパク質分解酵素の働きを利用するものがあります。

主な食材(野菜・その他) 含まれる主な酵素名
ショウガ ジンギパイン
マイタケ マイタケプロテアーゼ
塩麹・味噌・醤油 プロテアーゼ、アミラーゼなど

(※麹菌が発酵する過程で生成)

食材由来の酵素と業務用酵素剤の違い

製品開発を行う際、パイナップルやショウガといった「食材」をそのまま利用する方法と、特定の酵素だけを抽出・精製した「業務用酵素剤」を利用する方法があります。両者の違いを理解しておくことが重要です。

食材をそのまま利用する際の課題

食材を酵素源としてそのまま使うと、酵素の活性が安定しません。例えば、パイナップルの酵素活性は収穫時期によって変動します。生鮮品なので、季節や個体によって活性レベルが変わり、最終製品の品質がバラついてしまいます。

また、生鮮品は天候によって価格が変動し、コスト管理も困難です。品質とコストが不安定な状態では、安定した生産計画が立てられず、収益が悪化してしまいます。

業務用「酵素剤」を活用するメリット

業務用酵素剤の活用は、食材利用時の課題を解決し、安定した生産体制の構築に役立ちます。酵素剤は活性が保証されており、製造プロセスが安定するため、最終製品の品質も均一化できます。

また、価格が生鮮食材と比べて安定しているため、コスト管理が容易になる点もメリットです。力価が高く微量の添加で済み、粉末状で常温保管が可能なことも、トータルコストの削減や在庫管理の効率化に貢献します。

業務用酵素剤の活用例と選び方のポイント

ここでは、業務用酵素剤の活用例と選び方のポイントを紹介します。

活用例1:食肉・水産加工

最もイメージしやすい活用例が、食肉や水産物の軟化です。酵素が硬い筋繊維(コラーゲンやエラスチン)に作用し、食感を柔らかくします。

【具体例】
ステーキ肉の軟化処理、スジ肉の処理、魚肉練り製品の食感改良、魚の皮むき処理など。

活用例2:調味料・エキス製造

タンパク質をアミノ酸まで分解する働きは、調味料やエキスの製造に不可欠です。大豆、小麦、肉、魚といったタンパク質原料に酵素を作用させ、効率よく旨味を引き出します。

【具体例】
天然調味料(たんぱく加水分解物:HVP)、エキス(ビーフエキス、チキンエキス)の抽出効率向上、醸造(醤油・味噌)の熟成促進など。

活用例3:製パン・製菓

小麦タンパクであるグルテンの性質を調整するために使用されます。グルテンの結合を適度に切断することで、生地の伸展性を良くし、作業性を改善したり、最終製品の食感をコントロールしたりします。

【具体例】
パン生地の改質、クラッカーやビスケットの食感改良(サクサク感の向上)など。

選定ポイント1:基質特異性(何に効くか)

業務用酵素剤を選ぶ上で重要なのが基質特異性です。これは、酵素が「どのタンパク質に対して、特に強く作用するか」という相性のようなものです。

例えば、一口に肉を柔らかくしたいと言っても、硬さの原因が「筋繊維」なのか、「スジ」なのかで、選ぶべき酵素は変わります。

コラーゲンや小麦グルテン、大豆タンパクなど、自社が対照する原料に最適な酵素を選ぶ必要があります。

選定ポイント2:至適条件(pH・温度)

すべての酵素には、最も活発に働く「至適pH」と「至適温度」があります。自社の製造ラインの環境(pHや温度)が、その酵素の至適条件から大きく外れていると、酵素は期待通りの効果を発揮できません。

例えば、酸性のソースに酵素を使う場合、酸性域でよく働く酵素を選ぶ必要があります。

また、最終的な加熱工程で酵素の働きを失活させられるかどうかも重要です。狙った効果を得た後、加熱によって酵素活性を失わせることで、製品の品質を安定させることができます。

選定ポイント3:最終製品の表示

酵素剤を食品に使用した場合、最終製品の原材料表示ラベルにどう記載されるかも重要なポイントです。日本では、酵素は「食品添加物(酵素)」として扱われます。

しかし、製造工程で使用され、最終製品が完成する前に除去されるか、失活して微量しか残存しない場合は、「加工助剤」とみなされ、表示が免除されるケースも。

製品のコンセプトに合わせて、表示が必要な酵素か、加工助剤として扱える酵素かを選定する必要があります。

まとめ

タンパク質分解酵素は、食材にも含まれますが、食品メーカーが安定した品質とコストで活用するには業務用酵素剤が適しています。

酵素剤は、力価(活性)が保証されているため、製造プロセスを安定させることが可能です。酵素剤を選ぶ際は、自社の製造条件や目的、最終製品での表示なども必ず確認しましょう。

永和物産では、こうした酵素剤の選定サポートを行っており、多くのお客様にお選びいただいています。

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