食品工場の省力化とは?背景や重要性、具体的な改善アイデアをご紹介
食品工場における「省力化」とは、単に人員を減らすことではなく、作業の無駄をなくし、従業員の負担を軽減して生産性を高める取り組みを指します。
しかし、一言で省力化といっても、その手法は多岐にわたります。「何から手をつければ良いかわからない」「大規模な設備投資は難しい」と、省力化への一歩を踏み出せずにいるケースも少なくありません。
そこで本記事では、食品工場の省力化について、その重要性から、明日からでも試せる改善アイデアを紹介します。食品商社ならではの視点である「原材料の見直し」による省力化についても解説しているので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
食品工場の省力化とは?省人化・自動化との違い
食品工場の省力化とは、人の作業負担を軽減し、より付加価値の高い業務に集中できる環境を整えることを指します。
類似する言葉として、「省人化」と「自動化」があります。
- 省人化:作業に必要な人員を減らすのが目的。
- 自動化:機械やロボットが人の代わりに作業を行う、省力化や省人化をするための手段の一つ。
省力化は、必ずしも人員削減や大規模なロボット導入を意味するわけではありません。「作業工程を見直して無駄な部分をなくす」「作業用のマニュアルを作成する」といった、現場の負担を軽くするための工夫も、省力化に含まれます。
食品工場で「省力化」が重要な理由
食品工場での省力化が求められるようになった背景には、以下のような要因が考えられます。
深刻な人手不足
少子高齢化による労働人口の減少は、今や全ての産業が直面する喫緊の課題です。
総務省統計局の「労働力調査」によると、2024年の労働力人口は前年比で32万人増加しているものの、これは主に女性や高齢者の就業が進んだ結果であり、男性の労働力人口は逆に1万人減少しています。
このような働き手不足の状況は、食品工場における現場作業員の確保を年々難しくし、人材の確保と定着が大きな経営負担となっています。
原材料・人件費・エネルギー価格の高騰
近年の国際情勢の不安定化や円安の影響で、原材料やエネルギーの価格は高騰を続けています。最低賃金の上昇も相まって、製造コストは増加の一途をたどっており、利益を確保するためには、これまで以上の生産性向上が不可欠です。
消費者ニーズの多様化
食の多様化により、多品種少量生産への対応が求められるようになりました。生産ラインの切り替え頻度が増え、個別の作業が複雑化することで、現場の負担は増大しています。
これらの課題を解決し、持続可能な工場経営を実現するために、省力化による生産性向上が急務となっているのです。
食品工場の省力化のアイデア・改善ネタ事例
ここでは、具体的な省力化のアイデアや事例を、投資規模や実行のしやすさに応じて3つのレベルに分けて紹介します。
レベル1:すぐに試せる改善案
設備投資を必要としない、現場の意識改革や工夫ですぐに着手できる改善案です。
- 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の徹底:不要な物をなくし、道具や資材の置き場所を定めることで、「探す」という無駄な時間を排除します。
- 作業動線の見直し:人が移動する距離や、モノを運ぶルートを最適化し、歩行や運搬の負担を軽減します。
- マニュアルの動画化:紙のマニュアルを、スマートフォンでいつでも確認できる短い動画に置き換えます。新人教育にかかる時間を短縮し、作業品質の標準化につながります。
- 使いやすい道具の導入:計量しやすいスプーンや、持ち運びやすい容器、疲れにくい作業台など、小さなツールの見直しも、日々の作業負担を軽減します。
レベル2:部分的な自動化・機械化案
特定の工程や作業に絞って、比較的小規模な投資で導入できる機械化の例です。
- 包装機・計量機:手作業で行っていた計量や袋詰めの工程を機械化することで、作業スピードと精度を向上させます。
- 盛り付けロボット:弁当やお惣菜の盛り付けなど、単純ながらも人手が必要だった作業をロボットに代替させます。
- コンベア:工程間で発生する製品や資材の運搬を自動化し、作業者の負担を軽減します。
- 自動洗浄機:使用後の器具やコンテナの洗浄を自動化することで、衛生的かつ効率的な作業を実現します。
レベル3:DX推進による工場全体の生産性向上案
IoTやAIといったデジタル技術を活用し、工場全体の生産性を最大化する取り組みです。
- 稼働状況の可視化:工場内の機械にIoTセンサーを取り付け、稼働データ(生産数、停止時間など)をリアルタイムで収集・分析。ボトルネックとなっている工程を特定し、改善につなげます。
- 生産管理システム:原材料の在庫、製造工程の進捗、製品の出荷までを一元管理。部門間の連携をスムーズにし、無駄のない生産計画を実現します。
- AIによる需要予測・検品:過去の販売データや天候などからAIが需要を予測し、過剰生産や欠品を防止。また、AI画像認識による検品は、人によるばらつきをなくし、品質を安定させます。
設備投資だけではない、原材料の見直しによる省力化
設備投資やDX推進といった大掛かりな改善だけでなく、日常的に仕入れている「原材料」を見直すことも、省力化を実現する上で有効なアプローチです。ここでは、食品商社の視点から、具体的な方法とメリットを解説します。
1. 調理・下処理工程を削減する「半加工済み原料」
工場内での作業で、時間と人手を要するのが「下処理」工程です。あらかじめ洗浄・カットされた野菜、骨抜き済みの魚、下味がついた食肉といった「半加工済み原料」を仕入れることで、調理工程を大幅に短縮し、人件費を削減できます。
加えて、工場内で発生する廃棄ロス(野菜の皮や芯など)が減るというメリットも。これにより、従業員はより付加価値の高いコア業務に集中でき、工場全体の生産性向上につながります。
2. 「業務用エキス・調味料」の活用
スープやタレなどを、一からだしを取ったり、複数の調味料を配合したりして作っている場合、「業務用エキス」や「配合済み調味料」に置き換えることで、省力化が可能です。
計量・調合作業の時間を短縮できるだけでなく、担当者のスキルや経験に依存しない、味のブレがない製品の標準化を実現できます。熟練の担当者に頼らずとも、常に安定した製品を供給できるようになるのです。
■関連記事
肉エキスとは?種類や製造方法、選び方を食品開発担当者向けに解説
野菜エキスとは?種類や活用例、選定ポイントを食品業界向けに解説
3. 歩留まり改善・廃棄ロス削減につながる「高機能食材」
歩留まりを改善し、廃棄ロスを削減することも、コストと手間を同時に削減する有効な省力化です。
たとえば、食肉製品に保水性・結着性に優れた素材を加えれば、加熱による肉汁の流出が抑えられ、歩留まりが向上します。また、賞味期限の長いロングライフ原料を選定すれば、在庫管理が容易になり、廃棄ロスを減らすことが可能です。
まとめ
食品工場の省力化には、現場の5Sや作業動線の見直しといった地道な改善から、機械やDXの導入、そして「原材料の見直し」まで、そのアプローチは多岐にわたります。まずは自社の課題を洗い出し、できることから一歩ずつ改善を進めていきましょう。
ただし、最も重要なのは、闇雲に新しい施策を試すのではなく、自社の製造規模や本当に解決したい課題に合った最適な方法を見極めることです。
永和物産では、お客様の課題に合わせた省力化・コスト削減につながる最適な原材料をご提案しています。何から始めれば良いかわからない、といった段階でもお気軽にご相談ください。
永和物産に関する
お問い合わせはこちら



