パーム油とパーム核油の違い|成分・融点から食品用途の使い分けまで

パーム油とパーム核油の違い|成分・融点から食品用途の使い分けまで

アブラヤシから得られる油脂には、パーム油とパーム核油の二種類が存在します。名前こそ似ていますが、食品設計における役割は対照的であり、目的を誤って選定すると製品の食感や保存性に大きな影響を及ぼしかねません。

食品業界の担当者は、パーム油とパーム核油の物性の違いを正確に把握しておくことが重要です。

本記事では、パーム油とパーム核油の原料部位や成分の違い、食品加工における使い分けについて解説します。ココナッツオイルとの代替関係や、RSPO認証を通じた持続可能な調達方法についても触れているので、自社の適切な油脂選定の参考としてください。

パーム油とパーム核油の主な違い

パーム油とパーム核油は、いずれもアブラヤシという植物から得られる油脂ですが、全く異なる性質を備えています。食品設計を最適化するには、原料部位に由来する物理的特性の差異を正しく認識しなければなりません。

原料部位の違い

パーム油はアブラヤシの「果肉」を圧搾して抽出される油脂です。一方、パーム核油は果肉の中にある「種子(核)」から搾油されるものであり、抽出される場所が異なります。

同じ木から収穫される原料ではあるものの、生産工程や工場の設備も別々に分かれている場合が多く、完全に独立した商品として市場に流通しています。

成分と融点の違い

パーム油はオレイン酸やパルミチン酸が主体であり、酸化に対する強さと常温で半固形を保つ安定性が特徴です。加熱調理や練り込み用途において、品質を維持しつつ適度な保形性を付与できます。

一方、パーム核油はラウリン酸を主成分としており、ココナッツオイルに似た体温で急激に溶ける性質を持っています。常温では硬い固形ですが、体温付近に達すると急激に液状化するため、チョコレートなどの口溶けを重視する食品に最適です。

食品加工における使い分け

パーム油とパーム核油の物性が異なるため、食品業界ではそれぞれの特性に応じて以下のような使い分けが行われています。

パーム油:揚げ物・練り込み・マーガリン

酸化安定性が極めて高いパーム油は、加熱工程を伴う揚げ物料理に最適です。即席麺やポテトチップスなどのフライオイルとして使用すれば、商品の賞味期限を延ばしつつ、劣化に伴う不快な戻り臭を抑えられます。

また、天然の状態で適度な硬さを持つため、水素添加を行わずにマーガリンやショートニング、カレールーの練り込み油脂としても広く利用されます。

パーム油とは?メリットや活用事例を食品業界向けに解説

パーム核油:チョコレート・アイス・ホイップ

パーム核油が適しているのは、繊細な口溶けが求められる製菓や冷菓の分野です。体温付近でサッと溶ける性質を活かし、チョコレートのコーティングやアイスクリームの油脂分、ホイップクリームの原料として重宝されます。口の中に入れた瞬間に熱を奪いながら溶けるため、商品に清涼感のある独特な口当たりを付与できます。

カカオバターの代替油脂としての役割も大きく、コストを抑えつつ高級感のあるテクスチャーを再現する上で非常に効果的です。

パーム核油の基礎と活用法を、食品業界担当者向けに解説

ココナッツオイル・MCTとの関係

パーム核油を理解する上で、ココナッツオイルやMCTとの関係性も整理しておく必要があります。

成分が酷似しており代替可能

パーム核油とココナッツオイル(ヤシ油)は、共に「ラウリン酸系油脂」と呼ばれるカテゴリーに属します。脂肪酸の構成比率が非常に似ているため、食品の配合における相互の代替が比較的容易に行える点が特徴です。

世界的な需給バランスや為替変動、主産地の天候状況によって市場価格が変動した際、多くのメーカーはパーム核油とココナッツオイルを天秤にかけ、より有利な条件で調達できる方を選択します。

MCT(中鎖脂肪酸)の供給源

パーム核油は、ココナッツオイルと同様にエネルギー代謝の早いMCT(中鎖脂肪酸)を豊富に含んでいます。この特性を活かすことで、機能性食品や健康志向の商品において優れた栄養価を付与することが可能です。

例えば、高齢者向けの栄養補助食品やアスリート向けのスポーツ飲料など、素早いエネルギー補給が求められる分野で広く活用されています。一般的な油脂に比べて消化吸収がスムーズなMCTの供給源として、商品の付加価値向上に直結する重要な素材といえるでしょう。

MCTオイルとは?食品開発に役立つ基礎知識|種類や活用事例を紹介

安全性と環境への配慮(共通の課題)

インターネット上では「体に悪い」「危険」といった声も聞かれますが、これらは過度な不安や誤解に基づいた側面が少なくありません。食品メーカーとしては、科学的根拠に基づいた安全性の実態や、持続可能な調達に向けた世界的な取り組みを正しく理解し、消費者の信頼に応える姿勢が求められます。

安全性とトランス脂肪酸

パーム油やパーム核油の安全性を確保するには、適切な精製工程を経た原料選定が不可欠です。精製過程で不純物を徹底して管理し、各国の安全基準をクリアした油脂であれば、商品への使用に問題はありません。

また、パーム油は天然の状態で適度な硬さを持つため、液状油を固めるための水素添加工程を必要としません。これにより、健康リスクが懸念されるトランス脂肪酸の発生を抑えることが可能です。

RSPO認証(持続可能なパーム油)

持続可能な商品づくりを実現するには、サプライチェーン全体の透明性を高める必要があります。アブラヤシ由来の油脂は、森林破壊などの共通した環境リスクを抱えており、企業のCSR(社会的責任)としてRSPO認証油の選定が強く推奨されています。

たとえば、口コミサイトやSNSを通じて、企業がどのような原材料を使い、持続可能な社会に貢献しているかまで選定の基準にする消費者も少なくありません。

このような購買意識の変化に対応するためにも、森林破壊の防止や地域社会への配慮が証明された認証油の選択が不可欠です。RSPO認証油の採用は、顧客ニーズに応えると同時に、商品の信頼性とブランド価値を中長期的に高めるための重要な戦略となります。

RSPO認証とは?概要やメリット、選び方を食品メーカー向けに解説

まとめ

パーム油は耐久性とコストパフォーマンスに優れ、パーム核油はシャープな融解特性による高い機能性を備えています。開発中の商品がどのような物性を求めているのかを整理し、それぞれの特性を活かせる適切な油脂を見極めることが大切です。いずれを選定する場合も、品質の安定性と環境への配慮が両立できるよう考慮して選びましょう。

永和物産では、様々なMCTの提案や、RSPO認証油のサポートなどを行っています。お客様のニーズに合わせて最適な油脂をご提案いたしますので、ぜひご検討ください。

取り扱い商品や、
永和物産に関する
お問い合わせはこちら