パーム油とは?メリットや活用事例を食品業界向けに解説

パーム油とは?メリットや活用事例を食品業界向けに解説

世界で最も生産されている植物油脂であるパーム油は、加工食品の製造において欠かせない原料です。優れた酸化安定性とコストメリットを併せ持っており、スナック菓子や即席麺、パン、マーガリンなど、身の回りのあらゆる商品に使用されています。

本記事では、パーム油の基礎知識やパーム核油との違い、食品加工におけるメリットと活用事例を詳しく解説します。環境問題への対応策であるRSPO認証や、安全性に関する最新の知見についても触れているので、パーム油の切り替えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

パーム油とは?パーム核油との違い

パーム油はアブラヤシの果実から得られる植物油脂であり、世界中の食品産業で広く利用されています。以下、混同されるパーム核油との違いに触れながら、パーム油の定義や食品原料としての立ち位置を整理していきましょう。

パーム核油との違い

アブラヤシという同一の植物を原料としながらも、抽出部位によってパーム油とパーム核油は明確に区別されます。

パーム油は果実の「果肉部分」を圧搾して得られるのに対し、パーム核油は中心部にある「種子(核)」から抽出されるのが特徴です。原料部位が異なることで、含まれる脂肪酸の構成も大きく変化します。

パーム油はパルミチン酸やオレイン酸をバランスよく含み、常温で半固形です。一方でパーム核油はラウリン酸が主成分であり、ココナッツオイルに近い性質を持ちます。用途や物性が全く異なるため、商品設計の際には原料部位による違いを正確に把握しておく必要があります。

パーム油とパーム核油の違い|成分・融点から食品用途の使い分けまで

食品メーカーがパーム油を使うメリット

ここでは、食品メーカーがパーム油を使うメリットを機能とコストの面から3つ紹介します。

1. 酸化に強く、劣化しにくい

食品メーカーがパーム油を使うメリットは、加熱時における酸化安定性の高さです。他の植物油と比較して飽和脂肪酸を豊富に含んでいるため、加熱による酸化が起こりにくいという性質があります。

高温で長時間使用しても品質が安定しており、油特有の戻り臭も少ないため、即席麺やスナック菓子といった揚げ工程を伴う商品に最適です。

2. 常温で半固形(トランス脂肪酸フリー)

植物油脂の多くは常温で液体ですが、パーム油は天然の状態で固形分を含んだ半固形状を維持します。かつては液状の植物油を固めるために水素添加という工程が一般的でしたが、その過程で生成されるトランス脂肪酸が健康上のリスクとして問題視されていました。

パーム油は水素添加を行わなくても適度な硬さを持たせることができるため、トランス脂肪酸の発生を抑えつつ、マーガリンやショートニング、クリームの原料として活用できる強みがあります。

3. 調達コストが安い

パーム油は、他の植物油に比べて収穫量が圧倒的に多いため価格が安く、調達コストを低く抑えられるメリットがあります。

商品の原価を低減しつつ、品質は維持したい食品メーカーにとって導入のハードルが低く、かつ経済的な恩恵を享受しやすい素材です。

食品業界での活用事例とグレード選定

パーム油は、分別と呼ばれる技術により、融点の異なる複数のグレードに分かれます。製品に求める食感や保存形態に合わせて、適切なグレードを選択することが製造のポイントです。

揚げ油・フライ用途(パームオレイン)

パームオレインは、パーム油を分別し、常温で液状になる成分を取り出したものです。液状でありながら高い酸化安定性を維持しているため、ポテトチップスや冷凍フライ、即席麺などの揚げ油として広く使われています。

パン・お菓子・カレー用途(パームステアリン)

分別によって得られる高融点の固形成分はパームステアリンと呼ばれます。常温でしっかりとした硬さを持つため、カレールーのベースや、パン・菓子の食感を作るショートニングの主原料として重宝される存在です。

チョコレートに練り込む油脂としても利用され、口溶けの調整や耐熱性の付与に大きく貢献します。

用途に合わせた「分別」の重要性

パーム油は温度変化に敏感であり、季節や製造工程の環境によって状態が変化する点に注意が必要です。

単にパーム油として採用するのではなく、最終製品の求める食感やパッケージング後の安定性を考慮し、最適な分別油を選ぶ作業が欠かせません。自社の製造ラインや製品特性に合ったグレードを選ぶ必要があります。

健康・環境への懸念と企業の対策

広く普及しているパーム油ですが、インターネット上を中心に「体に悪い」「環境を破壊している」といったネガティブな言説が散見されるのも事実です。企業としては、消費者が抱く懸念に対し、科学的根拠と社会的責任に基づいた真摯な対応を求められます。

危険と言われる理由と安全性

パーム油に含まれる飽和脂肪酸の過剰摂取や、精製過程で発生する微量の不純物に関する懸念が議論されることがあります。しかし、現在は精製技術の進歩により不純物の管理が徹底されており、適切な摂取量を守る限り安全性に問題はありません。

各国の厳しい食品安全基準を満たしたパーム油は、世界中で広く利用されています。事実に基づかない過度な不安を払拭するためには、正確な安全性データを把握し、必要に応じて消費者に説明できる体制を整えておくことが大切です。

環境問題とRSPO認証(SDGs)

パーム油の持続可能な調達を実現するには、生産地の森林破壊や生態系への影響に精通した担当者の存在が求められます。単に安価な原料を確保するだけでなく、生産過程における環境負荷や労働環境の課題をいかに解決するかという視点を持ち、具体的な施策を実行できる能力が必要です。

「RSPO認証」を取得した油脂への切り替えは、SDGsへの貢献を示すだけでなく、企業のブランド価値を維持するための対策といえるでしょう。環境問題への深い理解と顧客目線を併せ持つ担当者が主導することで、持続可能なビジネスモデルの構築が可能になります。

RSPO認証とは?概要やメリット、選び方を食品メーカー向けに解説

企業が取るべき調達方針

消費者の安全意識が高まる現代において、油脂の調達には透明性が求められます。単にコストを抑えた仕入れを行うだけでは、どれだけ品質を追求しても消費者が抱く安全や環境への懸念を払拭できないでしょう。

産地のトレーサビリティを確保し、サプライチェーンの情報を把握する姿勢が不可欠です。安全性が客観的に証明されたサプライヤーを選定し、RSPO認証油の導入を進めることで、消費者に食品の安全性と企業の信頼性を同時に提供できるはずです。

まとめ

パーム油を活用して製品の競争力を高めるには、機能性とコストのバランスを最適化しつつ、環境配慮という現代のニーズに応えなければなりません。そのためには、物理的性質の異なるパームオレインやパームステアリンといったグレードの適切な使い分けに加え、RSPO認証制度を通じた持続可能な調達への取り組みが不可欠です。

永和物産では、RSPO認証油の円滑な調達サポートはもちろん、健康機能性に優れたMCTについても幅広い提案を行っています。目的に応じた油脂の選定から、持続可能なサプライチェーンの構築まで、貴社の課題解決に貢献いたします。

取り扱い商品や、
永和物産に関する
お問い合わせはこちら